広告コピーってこう書くんだ!読本
仕事で商品の特徴などを説明する文章などを考えることがしばしばあるんですが、なにぶん不得意なので勉強をしようと思い選んだ本です。
コピーライティングの手法と思考法が書かれていましたが、ほとんどが思考法です。コピーライティングについて勉強になる部分はとっても多かったですが、特にワタシが印象に残った部分をいくつか記録したいと思います。
なんかいいよね。禁止。
普段の生活の中で、映画でも音楽でもなんでもいいですが『良いな』と思うことはあります。でも、『なんでいいのかな?』っていう思考にたどり着くことは少ない。ワタシも思い返すと『なんかいいよね。』と思うだけで、『〇〇だから良いんだ!』とか考えたことなど殆どない。筆者が言いたいのは『受け手』から『作り手』の思考にならないとコピーは書けないよってこと。
だから、『なんかあれいいよねー』を禁止して、『あれなんでいいんだろ?』の思考を持ちましょう。
コレって、日常生活でも当てはまってて、いわゆる『思考停止』になるなってことだと思う。毎日同じ生活をしていたら、現状を疑って改善していくって事が億劫になってしまって進歩がなくなっちゃう。それって変化せず受け身のほうが楽だから。
コピーも同じだなぁと思いました。
コピーの書き方は、散らかす・選ぶ・磨く
プロでもコピーを書くときは、一発OKはなく、産みの苦しみを越えてようやく1個のコピーが出来上がるようです。パッと浮かぶとか言葉が降りてくるみたいな感覚は一部の天才だけみたいですね。
どうやったらコピーが書けるか。次の手順で纏められていました。
- 散らかす⇒物事の視点や切り口を多く探す
- 選ぶ⇒受け手にとって身のあるものを
- 磨く⇒わかりやすく印象深いものにする
多くは最終工程の『磨く』をやりがちなんですが、大事なのは『散らかす』と『選び』だそうです。とにかくあらゆる視点からコピーを書き散らし、受け手が満足するものを『選ぶ』この工程がしっかりしていないとコピーとして成り立たないことが多いとの事。
たくさんのコピーを書き散らすには、『対象物』とほかの人モノとの関係性を考える。自分以外の人とモノの関係性を理解すること。
例えば、ビールがあったらビールそのものだけでコピーを考えずに、『ビールと〇〇』のような関係性を考えてみる。〇〇部分を色々と変えてみることでコピーをたくさん書き散らすことができる。
その散らかした中から受け手に意味のある『選ぶ』のヒントは、コピーは短く、口コミで伝播する力、状況を変化させる、嘘をつかないなど。
基本的に広告など誰にも好かれていない事をわかった上で、どうすれば人づてに拡散されていくかを考えないとダメ。だからコピーは短くして伝播する力を考える
コピーは描写ではなく解決。対象物をそのまま写すのではなく、今ある状況を変えてみる。例えば、古本屋さんのコピーなら『古い本を売ってる事実』を書くのではなく『古本の用途』などに目を向けコピーを書く。お風呂で読むなら新品より古本だよね。みたいな。
わりとやっちゃいがちなのが、コピーで嘘をつく。これは、少しでも文章的に美しく書こうとしてよくよく考えると『そんなわけないやん!』っていう文章になってる。先程の古本のコピーで、『あるページに涙の跡があって、私も同じところで泣いた』というコピーの例をあげて、普通に読んでて泣いたら涙の落ち場所は膝くらいだろ。ページに落ちることはほとんどないだろう。こうして、コピーを美しくしようと嘘をつくのはよくない。
自己満足ではなく受け手の満足を考えて選ぶ。コレについては筆者はこう言っている『おじいちゃんにプレゼントを選ぶようなもの』。プレゼントするときに自分の好みを押し付けるか?そうじゃなく、おじいちゃんが好きなもの、その種類などを考えて喜んでもらえるものを選ぶんじゃないだろうか。自分の好みがクリエイティブじゃなく、人を喜ばす思考をすることが自分のクリエイティブなのだ。
常識とコピーと芸術
ウケるコピーというものは納得ができるもの。知っているけれども普段は意識の下に眠っており、改めて言われると『そう言えばそうだね』となるものがコピーの納得。
筆者は以下のように3分法で語る。
- そりゃそうだ⇒常識
- そう言えばそうだね⇒コピー
- そんなのわかんない⇒芸術
豆腐を用いると、『この豆腐は白いんですよ』⇒そりゃそうだ。(常識)『この豆腐の白さは現代の不安を象徴しているんだよ』⇒ちょっと何言ってるかわかんないんですけど。(芸術)『豆腐は栄養があって畑のステーキみたいなもんだよ』⇒そう言われればそうね。(コピー)
このように、だれもが知っているけれども改めて言われないと表面化しない事がコピーとして成り立つ要素だという。
誰もが知っている表面化しないことは『雑学』であって『雑学』って人に言いたくなりますよね。コレは完全に人づての伝播を考慮し、伝播しやすいように『雑学』を受け手に投げる。まるでホームランを打ちやすいボールをわざと投げるように。さらにここに、受け手がコピーで遊べる様になれば最高だと。誰もがつい口ずさみたくなるCMがあると思う。その様な事がコピーで遊ぶということだ。
最後に
広告コピーはこう書くんだ!読本を読んで、一番思ったことは、『広告コピーを書くことはコミュニケーションだ』ということ。対人関係でもその人をいろんな角度から見ることでその人の深さを知るし、親睦を深めようとすると相手のことを知って思考を巡らせるだろう。決して嘘をつくことはいけないし、独りよがりではいけない。
コピーライティングの勉強に読んだ本ではあるが、思いもよらない思考がワタシの中を駆け巡った本でした。
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