久しぶりの読書です。多忙で読了までに時間が掛かりました。
孤独の意味も、女であることの味わいも
国際政治学者の三浦瑠麗氏による自叙伝的なエッセイ。ここ数年、テレビのコメンテーターとしてよく拝見していますが、問題に対しての見解の良し悪しは別として、問題を一つ一つ切り分けて分析して本質を見極めようとする所(それが常に客観的というか自分自身のことすら俯瞰で捉えた感じがする)と非常に博識であるところにワタシは惹かれます。
そして、とても現代的な考え方を持っている反面、どこか奥ゆかしく昔ながらの女性を兼ね備えた人だと思います。
”今どきの良妻賢母”なのかなという印象ですね。
非常に研ぎ澄まされた文章
この本を読んでまず思ったのは、文章の滑らかさ。洗練された言葉選びと表現で、まるで古典で習った女流作家の物語を読んでいるような錯覚になりました。この本にも出てきますが、ずっと本に慣れ親しんできたこの方でこその文章だと思います。
孤独
ワタシが共感できたというか、同じような気持ちをもって過ごしてきた年代があったなと思うテーマ。ワタシはこれまで友達もいましたし、孤独を強く感じて生きてきたというわけではないのですが、『友達とうまくやるためには、ある程度、それ用の自分を演じないとダメで、素の自分との間に乖離があればあるほど、素の自分に戻ったときに孤独を感じる』ということでしょうか。
女であることの味わい
タイトルにある『女であることの味わい』という部分については、男性であるワタシには理解が難しいところでした。多分女性が読めばあるあるなことが多いのでしょうが、ワタシの見解としては、孤独と同様。人間として、女性としてのジレンマだったんでしょうか。世間や家族から求められる女性像がこうやって生きていきたいという自分の理想像の邪魔になるという葛藤だと受け取りました。
最後に
本書からは、上記に書いたことよりも自身の子供たちへの愛情が要所要所にあふれているエッセイです。そこも十分に感じてもらいたいところです。
本書は全130ページちょっと。普通に読めば2時間で読了できると思います。
国際政治学者の片りんも感じないエッセイですが、三浦瑠麗氏に興味のある方にはおすすめです。
本書の一番注目される個所については触れませんでしたので、そこは本書をとって感じてもらいたいですね。